ごあいさつ
【新年に幸多からんことを・・】
旧年中は、大変お世話になり、まことにありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。年明け早々、大きな災害もなく、穏やかに新しい年を迎えられたことを、何より嬉しく思います。
今年は、巳年です。「巳」という字の由来は、胎児の形を表した象形文字であるとともに、巳(へび)が冬眠から目覚め地上に這い出すことから、冬に根をはった草木が芽を出し、「新しい種子が生まれる」という意味があるそうです。
又、このようなことから巳年は、力を蓄えていたものが芽を出す「起点」の年、脱皮する特性と併せ「再生と誕生」を意味する年とも言われるそうです。その他、巳(み)と実(み)を掛けて「実を結ぶ」年と言われたりもします。
昨年は、凶悪な事件が多発したことや、政治の不安定な状況から、国民生活がどうなっていくのか不安ばかりが募りました。
「巳」年に因んだ今年は、冬に根をはった草木の命が芽を出し、新しい世代への絆の誕生を喜び、争いのない国に住み続けるために、又、それぞれが想い描いた将来の幸せをつかみ取るためにも、今、私たちは立ち上がる元気を取り戻さなければならないと思います。
福祉の世界も年々複雑になり、困難な壁がいくつも立ちはだかる中で、何をしなければならないか、が見えにくくなる時があります。
昨年、念願の「さをり織りファッションショー」を企画し、利用者の皆さんが自分で織った生地をまとってランウェイを堂々と歩きました。本番までの日々は、施設の中でテープで線引きしたランウェイを、毎日歩く練習をしました。当日、固唾を呑んで見つめた、60㎝の高さのランウェイをスポットライトを浴びて堂々と歩く利用者の皆さん1人ひとりのキラキラ光る笑顔に胸が熱くなりました。
嫌なこと、悲しいこと、つらいこと、30数年振り返ると数えきれないくらいありましたが、利用者の皆さんと一緒に味わった、いくつもの喜び、この瞬間の空気を一緒に吸うと自分の歩んできた道に後悔はないと感じた時間でもありました。楽しかったこと、会場から沸き起こる拍手の音を覚えていれば、これからも仲間と共に次の夢に向かって行けると信じています。
職員1人ひとりは、かけがえのない宝物です。それぞれが違う環境を経て、「出会い」があって福祉の現場で苦楽をともにすることとなりました。
誰もが「何をしなければならないか・・」と迷うときがあると思いますが、まず自分と向き合ってみること、そして「自分らしく」が掴めたら、一緒に将来を描き、働く喜びが伝えられる専門職として大きく羽ばたいてもらいたいと願っています。
いかなる場合でも、1人ひとりの尊い命を大切に守り続けることを約束して。
社会福祉法人橿原ふれあいの里福祉会
理事長 吉田 壽子